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分化誘導

多能性幹細胞であるiPS細胞から求める細胞を作製することを「分化誘導」といいます。分化細胞は、多様ですので、その分化誘導法もまた多様です。ただ、すべての分化細胞は、「外胚葉」、「中胚葉」、「内胚葉」と呼ばれる三つの胚葉から発生します。そこで、iPS細胞から分化細胞を得るためには、まず、第一段階として、求める細胞が発生する「胚葉」への分化誘導を行います。今回は、これら三胚葉、「外胚葉」、「中胚葉」、「内胚葉」への分化誘導法の紹介をします。分化誘導のポイントは、「成長因子」の濃度とタイミングです。

外胚葉への分化

外胚葉から由来する代表的な組織・臓器

神経外胚葉への分化誘導法

参考文献
Chambers SM. et al.,Nat Biotechnol. 27, 275-280(2009)

[神経外胚葉]ドパミン神経誘導への活用例


中胚葉への分化

中胚葉から由来する代表的な組織・臓器

参考文献
Sumi, T. et al., Development 135, 2969?2979 (2008).

[中胚葉]軟骨誘導への活用例

分化にはフィーダーフリー状態のiPS細胞を用いる。WNT,ACTIVINを培養液に3日間投与し分化させる。

WNT,ACTIVINを除き、BMP4を投与することによって中胚葉へと分化させる。


内胚葉への分化

内胚葉から由来する代表的な組織・臓器

内胚葉

参考文献
Development 59, 2094?2101 (2010).
Nature 470, 105?109 (2011).

[内胚葉]肝細胞誘導への活用例


オリゴデンドロサイトへの誘導 (岡野先生の方法)

1.論文:Kuroiwa-Numasawa et al. Stem Cell Reports, 2015

2.分化誘導法の特徴

胚様体(EB)の状態で分化誘導を行い、その後細胞を分離してからニューロスフェア(NS)形成を繰り返すことで、従来長期間かかっていた高効率なオリゴデンドロサイトへの分化誘導が55-99日程度に短縮することが可能となりました。この分化誘導法を用いて、神経系の難病Pelizaeus-Merzbacher Diseaseのメカニズムが慶應大学岡野教授の研究室で解明されました。

3.分化誘導法のスキーム

※:DSB: Dorsomorphin, SB431542, BIO

4.分化誘導法の実際

5.操作のポイント

様々なスフェア形成デバイスを用いて、大きさ(粒)の揃ったEB、NS( 40μm ~100μm )を作製するところがポイントです。


ドパミン神経への誘導 (高橋先生の方法)

1.論文:Doi et al., Stem Cell Reports, 2014

特許番号:公開番号 2013-501502
多能性幹細胞から神経前駆細胞への分化誘導法

2.分化誘導法の特徴

StemFit® AK02NとiMatrix-511により培養したiPS細胞からスタートし、各種増殖因子や低分子化合物を作用させながら接着培養、浮遊培養を組み合わせドーパミン産生神経細胞へと分化誘導させます。分化誘導途中でドーパミン産生前駆細胞をソーティングすることにより細胞移植に適した細胞を純化することができ、高効率でドーパミン産生細胞が得られる分化誘導方法です。

3.分化誘導法のスキーム

4.分化誘導法の実際

5.分化誘導法のポイント

1. 継代を重ねた細胞株では誘導効率が低下する場合があります。起眠後、一定の継代数の細胞を使用して下さい。
2. FACSを用いる場合は、CORIN抗体のメーカーや状態についても注意が必要です。弊社では高橋研のオリジナル法と同じ抗体(カン研究所製)を使用しています。


心筋細胞への誘導 (吉田先生の方法)

1.論文:Miki et al., Cell Stem Cell, 16, 699

特許番号:特願 2013-102375、効率的な心筋細胞の誘導方法
特許番号:特願 2014-058926、心筋細胞の選別方法

2.分化誘導法の特徴

iPS細胞を浮遊培養系により心筋細胞へと分化誘導する方法です。
シングルセルにしたiPS細胞からスタートし、浮遊培養系にて、各種増殖因子を作用させながら心筋細胞へと誘導します。
長期間浮遊培養を実施することで、成熟した心筋細胞が得られます。

3.分化誘導法のスキーム

4.心筋細胞塊の細胞外電位測定結果

5.分化誘導法のポイント

iPS細胞の培養方法や、使用するiPS細胞株により誘導効率が変わる場合がありますので、誘導開始時の細胞数、Step1 (BMP4, bFGF, Activin A)の処理日数等を変化させることにより、それぞれに最適な条件を探します。


膵臓細胞分化誘導 (粂先生の方法)

1.論文: Ryutgaro Nakashima et al., Genes to Cells, 20,1028-1045
Hussain Md. Shahjalal et al., J. Mol. Cell Biol.,6, 394-408

特許番号:特願 2014-104019

インスリン産生細胞の分化誘導方法

2.分化誘導法の特徴

- 5つのステップで、段階的に分化誘導因子の種類及びその組み合わせを変えることによって、19日間でインシュリン産生細胞を分化誘導する。
- ゼノフリー培養系でもインシュリン産生細胞を効率的に分化誘導することができる。

3.分化誘導法のスキーム

4.分化誘導の結果

(1) 免疫染色結果

(2) C-peptide ELISA 結果

5.分化誘導法のポイント

iPS細胞株、細胞の密度及び細胞接着に使用するMatrixの種類によって分化効率が変わりますので、最適な条件の検討が必要です。